北足立郡伊奈町大字小室の中荻地区は、伊奈町の北西部、大字小室の最北端に位置する。大字小室は、中世から小室郷と呼ばれる地域で、明治8年に別所・小室・本・柄山・柴・小貝戸・中荻・丸山の小室郷8か村が合併した範囲となっている。この合併の際の中荻がそのまま、現在の中荻の範囲となっている。
 中荻のお獅子様は、現在4月29日の祝日に行われている。かつては、4月22日が定例日であり、当時は同じ小室の浅間地区と同じ日の午前に行っていた。

期日 平成27年4月29日(水)  時間 6:30~13:30  場所 北足立郡伊奈町大字小室 中荻地区 行事の現地呼称 お獅子様 


1 中荻での行事(1軒目の家に到着)

 中荻のお獅子様では、毎年お獅子様を担いで巡廻する順が決まっている。お獅子様は、巡廻する最初の家に到着し、この家の座敷に安置する。中荻講社では「奉納 八枝神社狛狗大神 平成二十七年四月二十九日 中荻講中」と書かれた幟を作成し、この家の軒先に飾る。到着後、一旦解散する。


2 中荻での行事(地区の巡行)

 中荻のお獅子様は、例年地区内の各家を巡廻している。巡廻は、家並み順に行われる。巡廻する際には、先頭には八枝神社から借りて来た幟と、中荻で作成した幟の2本をそれぞれ子供が持って歩く。続いて大麻を持った者、お獅子様が続き、さらにお札・お守り等を持った者などが続く。お獅子様は基本的に担いで移動するが、場合によってリアカーで移動することもある。
 各家に到着すると、庭先でお獅子様を担ぐ者が大きく左右に荒々しく振って担ぐ。その後、お獅子様はその家の座敷に一時安置する。安置したお獅子様にはお参りをする人も多い。その後、お獅子様の一行は家からの接待を受ける。接待の方法は様々であるが、現在は子供を中心に菓子を振る舞う例が多い。このため、お獅子様に参加する子供たちは大きな袋などを持参している。
 出発前にはお獅子様の神輿を向かい合うようにして担ぎ、お獅子様の下を家の者がくぐる。くぐるとお獅子様の御利益があるという。また、このとき家に不在の者がいる場合、その者の衣服を持ってくぐると同じ効果があるという。