二ツ宮農家組合

【大山講と大山灯籠】
 二ツ宮地区では、古くからある家で構成される、農家組合が大山講として大山灯籠行事を行っている。かつては、三十一軒が講に参加していた。講元の家に残る大山講の帳面によると、二ツ宮地区の御師は小川家である。現在は五年に一度、大山講の行事として全員で大山阿夫利神社を参拝し、その年に大山灯籠を立てている。当番が灯籠行事を行う。当番は、五つの地区から一人ずつ選ばれた五人である。毎年三月十五日に、他の講とともにくじ引きにより決められている。

【灯籠立て】
 灯籠を立てるのは、大山の山開きである七月二十七日で、朝から昼にかけて行う。この日のことを「灯籠立て」という。当日は、当番と地区の住民が集まり、灯籠を立てる。
 立て終わると、公民館で、夕方まで懇親会が開かれる。

【構造と灯明】
 灯籠は、木製の組立式である。現在のものは二代目であり、以前のものは公民館の火災により焼失している。
 灯籠立ての日から、毎晩灯籠に火を灯す。灯明は、現在は自動で電球を点灯しているが、かつては、灯明皿で夕方から翌日の朝にかけて火を灯していた。

【設営】
 二ツ宮公民館の敷地内に立てる。現在の場所は三か所目で、以前は地区内の辻に立てていた。二ツ宮公民館は、かつて観音坊という村持ちの坊であった。
 灯籠の周囲に五角形になるよう五本の竹を立てる。竹は二年目のものを使う。長さは、三メートル五十センチである。この竹に、途中で接ぐことなく一本で仕上げるように、複雑に縄を張る。縄は、二本の縄を一本にない、長さは三十六尋(一尋は、大人が両手を左右に広げた長さ。約一メートル八十センチ)と決まっている。なお、二通りの結び方が伝わる。この縄に紙垂を飾り付ける。

【灯籠返し】
 灯籠を片付けるのは、八月十七日で「灯籠返し」という。当日の朝、当番の五人が集まり、三十分ほどで終了する。灯籠返しの後は、懇親会が開かれる。