上尾市北東部に位置する旧上平村には、古くからざる・籠・熊手などの竹製品を作る職人が点在していました。専業の竹細工職人ではなく、農閑余業として行われていたものです。正徳6(1716)年の南村指出帳(南村須田家文書)には、「当村にて田畑作りの間には男はざるをつくりかせぎ」とあり、江戸時代の中頃には、ざる作りが行われていたことが分かっています。
旧上平村の竹細工の特徴は、ざる、籠の製作のほか、熊手、竹柄杓が作られていたことにあります。特に、熊手の生産は、現在の上尾市大字南の数軒で3万本の数を生産し、主に埼葛地区に広く流通していました。